福山リハビリテーション病院 スタッフブログ

気まぐれ体験記 ~フルーツ編~ 

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オレンジ、バナナ、ブドウ、メロン……

これらは極めてポピュラーなフルーツであり、食べたことがないという読者諸兄はまずいないだろう。

 

そこで今回私は、あえて馴染みの薄いフルーツを、小話を交えつつ、食べてみたいと思う。

 

パッションフルーツ

花言葉:『信心』『宗教』『聖なる心』

南米原産のフルーツで、日本でも沖縄等の亜熱帯地方で栽培されている。

実は、この『パッション』という呼び名は『情熱』ではなく、『キリストの受難』という意味がある。

十六世紀、キリスト教の宣教師達が花の形が十字架に似ていることから、『受難の花』と名付けたことが言われている。

 

曰く、三本の雌しべは磔にされたキリストの釘跡、五本の雄しべはキリストの五つの傷、花弁とがくの十枚を使徒、巻きひげは鞭を表しているらしい。

 

で、問題のパッションフラワーの画像がこれである。

右上にちょろっと見える蔓状のものが巻きひげである。

当時の宣教師達のイマジネーションには驚かされる。

因みに日本では、時計の形(花びらを文字盤、雄しべ、雌しべを針に見立てている)をしているとして、時計草と呼んでいる。

 

熟れたてフレッシュ(?)なやつを二つに割ると、鼻孔をくすぐる南国な香り、黄色い果肉がいかにもすっぱそう。

スプーンですくい……にくいので、そのまますする!


内部の種はなかなかに固く、かみ砕くたびにガリガリと派手な音を鳴らし、その食感は独特だ。

黄色い果肉の酸味は強いが、甘みは弱く、少々、中途半端な味である。所詮、スーパーの一パック六百円はこの程度か……

 

しかし香りは素晴らしい。

香水作ったら売れるかもと思うのは、洋画『パヒューム』の影響か……?

 

レシピ パッションフルーツスムージー

材料(2人分):パッション6個 ココナッツミルク150㏄ 牛乳150㏄ 砂糖大匙1.5杯 牛乳100

  1. 製氷皿にココナッツミルク、牛乳を注ぎ凍らせる。

  2. パッションフルーツの中身を掻きだし、凍った(1)をミキサー、パッション、砂糖、冷たい牛乳を入れ、撹拌。

  3. 予め冷やしておいたグラスなどに盛り付け出来上がり。

 

パキスタンマンゴー

花言葉:『甘い囁き』 ただし種類によって複数ある。

 

南国の代表的なフルーツで、紀元前からインドなどで栽培されており、お釈迦様が悟りを開いた菩提樹が、実はマンゴーの木だったとか、インド遠征をしたアレキサンダー大王が、初めて食べて感激したという伝説がある。

 

その中でも、世界で一番美味しいとされるのが、三年前に輸入解禁となったパキスタンマンゴーで、英国王室に献上されるほどの一品。

買ってみたが、高かったです。

 

余談だが、マンゴーはウルシ科で、かぶれ成分が含まれており、過去二回、唇がえらいことになった。

 

皿の上に置いた段階から、ドッキドッキが止まらない。

英国王室への献上品。

その実力はいかがなものか!?

期待に無い胸を膨らませつつ、包丁をあてる!

 

皮をむいていくと、パッション同様、南国の香りが漂う。

しかし、パッションのさわやかな酸味と違い、こちらは甘く濃厚だ。テンションが上がる。

 

そして実食!

かぶれ成分マンゴール!

貴様には屈しない!!

 

「うおっ」

 

止まらない。

私の手と口は休むことなく動き続ける。

確かに今までのマンゴーとは格が違う。

香り、甘さ、酸味、全てにおいて段違いだ。

 

気が付けば種を残すのみ。

無論、しゃぶった。

その光景は禍々しいのでお見せできない。

 

だが、何ということだ。

このインパクトを受けた後で、トリのアイツは大丈夫なのか?

 

レシピ マンゴーリキュール

材料:マンゴー500g 氷砂糖200300g ホワイトリカー(35度)500ml

  1. 完熟していないマンゴーを水でよく洗い、水気を切る。

  2. 密閉容器にマンゴーと氷砂糖、ホワイトリカーを入れ密閉、一月ほどで出来上がり。炭酸水を加えてもおいしい。

ザクロ

花言葉:『優美』『おろかしさ』

 

花は、『紅一点』の語源とされ、中国の王安石の詩『詠柘榴』の『万緑叢中紅一点』(ばんりょくそうちゅうこういってん)の句に由来する。

一面の緑の草むらの中に咲く、一輪のザクロの花の意味で、本来は、たくさんの中で異彩を放つものを指していたが、現在は男性の中で唯一の女性に対するものとなっている。

 

日本では人の子を食べる鬼子母神に、お釈迦様が人の子を食べないようにするために、ザクロを食べろといった話が有名である。

タバコと同様、いきなりやめろなど無理なので、代替品を用意するあたり、流石である。

この話から、ザクロは地や人肉の味がすると言われるようになった。

 

さぁ、最後のザクロである。

マンゴーに比べてかなり見劣りするが、大丈夫。

あなたは美味しいって、私信じてる!

 

万感の思いを込め、ソイヤ!

 

毒々しい赤い断面がお出迎えだ。

 

しかし厄介なのはここからだ。

食べられるのは赤い部分のみ。

内部には写真では見えにくいが、茶色の薄皮があり、結構苦い。

解体して取り出さねばならない。

それが面倒臭い。

お釈迦様!

なんて苦行プレイを鬼子母神にさせてんだよ!

これ絶対代用品になんねぇよ! 

 

当然、血の味など欠片もない。

ちょっと酸っぱく甘い。

それくらいの薄味である。

もうこれからはジュースで良いや……

 

レシピ 柘榴皮糖水

材料(4人分):ザクロの皮50g 三温糖40g

  1. 皮をよく洗う。

  2. 鍋に水500㏄を注ぎ、皮を入れ強火にかける。煮立ったら、三温糖を加え、10分位煮込む。

  3. 皮を除き、器に盛って出来上がり。

薬膳では消化不良や慢性の下痢などに用いる他、殺虫作用、止血作用もあり、鼻血、血尿、生理不順に効くとされている。


……というノリで、普段食べないフルーツに一喜一憂してみたが、珍しいフルーツはまだまだある。

機会があればドリアンとか、食べれば何でも甘くなるミラクルフルーツとかも実に興味深い。

 

さしあたって、サボテンでも食ってみるか……

 


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