日本最大のサイクリングロード『しまなみ海道』には、その途中、『島ごと美術館』と呼ばれる生口島があり、島内に十七のオブジェが設置されている。
平成25年7月1日、その日私は、それら全てをデジカメに収めてやろうと、尾道から自転車(チャリ)を借りて行ってみることにした。
幼少の頃からサイクリングを趣味としてきた私は、一度自転車に乗ってしまえば、もう走ることしか考えられなくなる。
二時間弱で生口島にたどり着くまでの間、まともに休憩を挟むことさえしなかった。
おかげでそれまでの風景をほとんど覚えていないのは苦笑するしかない。
橋を下り、しばらく走ると、最初のオブジェ№1『地殻』が見えてくる。
まずは一枚、シャッターを切る。
№1『地殻』
さぁ、ミッションの始まりだ。
前述のとおり、島ごと美術館のオブジェは十七あるので、その全てを載せることはできない。
故に、特に印象の強かったものをお見せしたいと思う。
№6『The stepping stones』
少年が石の上を跳んでいるオブジェだが、なんと学校内にある。
つまり、平日に職員室へ行き、頭を下げて中に入れてもらわなければ撮ることができないのだ。
この日は月曜だったため、条件をクリアしていたが、もし日曜日に来ていれば、枕を涙で濡らすことになっていただろう。
№10『ねそべり石』
でかい四角形の石が砂浜にあり、異様な存在感を放っている。
寝そべって生贄などと一発芸でもかまそうかなどと考えたが、熱いのでやめた。
これらのオブジェはほぼ全てが島の周回上にあり、撮影は難しくはない。
が、一つだけ例外があった。それが№15『CATS DANCE』だった。
観光所の人が、これだけは自転車で行けないと言っていた代物で、山の上にあるシトラスパーク瀬戸田の前にあるのだ。
無論、そんなことを言われても諦めるはずもなく、私はそこに向かった。
だが、みろくの里まで自転車で行ったことのある私も、この道は想像以上に険しかった。
情報では、シトラスパークまでの坂道の距離は二、三キロ程度だったが、急な傾斜に加え、降り注ぐ日光はあまりにも凶悪だった。
正直、「あれ? 私は何をやっているのだろう?」などと幾度となく思ったりもしたが、終盤、ランナーズ・ハイのような状態になり、遂に辿り着いた。
№15『CATS DANCE』
こうして、十七のオブジェを全て写真に収め、ミッションをコンプリートした。
だからと言って商品があるわけでもなく、他者に話せば一笑に付され終わってしまうような行動だ。
それでも私は満足だった。
しかしその翌日、私は悲劇に襲われた!
丸一日太陽の下で走り続けたせいで、全身は日焼けで真っ赤にそまっていた。
否、それどころか身体の到る所から、黒い皮が剥がれ、その様は軽いB級ホラーのようだった。
皆様、日差しはまだまだキツイので、日焼け対策は万全に!!((((;゚Д゚)))
(薬剤科)